研究概要 |
(1)各種欠損体の構築 Tob1:各ドメインを1つ以上欠損させた欠損体について、Flagペプチドの融合蛋白質として構築した。可溶性分子としての調製が可能であった。Elastin binding protein of Staphylococcus aureus (EbpS):構造・機能に重要なドメインならびにアミノ酸残基を同定するため、アミノ酸配列の特徴に基づいて3つのブロックに分割し、各ドメインを1つ以上欠損させた欠損体の発現・調製系を構築した。 (2)複合体の物性解析 Tob1、EbpS双方について、全長蛋白質ならびに欠損体の溶液構造を円二色性や蛍光スペクトルを用いて評価した。N末端ドメインを有する分子種を中心に、熱安定性や化学安定性を、示差去査型熱量測定(DSC)ならびに変性剤滴定による構造変化から熱力字的に評価した。 (3)環境制御に基づいた天然変性蛋白質の自己集積構造への誘導と構造解析:EbpS Zn,Cu,Co,Fe,Mnについて、pHおよびイオン強度など溶媒の変化に伴う会合形成の変化を見た。蛋白質の表面状態によって親和性が変化するアルギニンのような添加剤の添加が会合形成能に及ぼす影響を考察した。(1)で構築した欠損体について(1)~(3)についての考察を行い、ドメインの特徴を明らかにした。 (4)表面プラズモン測定(SPR)滴定型熱量計(ITC)を用いた解析:Tob1 Tob1と標的蛋白質との複合体形成における結合速度と解離速度についてbiacoreT100を用いて測定した。EbpSと各種金属イオンの相互作用、Tob1と各種標的蛋白質の相互作用について、VT-ITCを用いて、複合体の形成に伴い発生する熱量を測定し、その特徴を明らかにした。
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