研究概要 |
(1)構築した変異体・欠損体の物性解析:Tob1,EbpS Tob1、EbpS双方について、前年度構築した全長蛋白質ならびに欠損体、部位特異的変異体の溶液構造を円二色性や蛍光スペクトルを用いて評価した。前者はpolyPQ領域存在の重要性、後者は膜貫通と想定される領域の存在が集合体形成に及ぼす影響を明らかにできた。Tob1についてはN末端ドメインを有する分子種を中心に、各種測定を行うことで、標的蛋白質との複合体形成におけるPolyPQ領域の役割、特に立体構造形成と相互作用の協同的作用を明らかにした。 (2)環境制御に基づいた天然変性蛋白質の自己集積構造:EbpS Zn,Cu,Co,Fe,Mnについて、特にZnとの特異的な相互作用とその会合形成を観察した。EbpSの欠損株、発現誘導株を樹立し、EbpSが増殖能に密接に関連していること、感染能、集積能とZnイオンとの関連を明らかにした。凝集抑制剤であるアルギニンの存在で会合形成が抑制されることから、会合形成における相互作用が疎水的なものであることが推察された。 (3)表面プラズモン測定(SPR)滴定型熱量計(ITC)を用いた低分子化合物の探索:Tob1 Tob1の天然変性領域が機能に及ぼす影響に関して考察を深めるため、今年度は、結合蛋白質CNOT7に特異的に結合する低分子化合物、特にフラグメント化合物をSPRによる結合アッセイに基づいて探索した。2000化合物の中でCNOT7に特異的結合可能と考えられるフラグメントを複数選出することができた。
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