研究概要 |
600~800字で記述すること ヒト組織培養中に生じる環境的ヘテロ集団(不均一性),細胞的ヘテロ集団(不均質性)に対する形成機構の解明を目指し,細胞レベル(微視的レベル,μmオーダー)での増殖・分化の現象を局所把握,細胞ごとに生じるイベント(分裂・遊走・物質生成,シグナリング)を生物的パラメータにて整理する.実在培養(in vitro culture)のデータを基に,細胞間のコミュニケーションを加味したモデル構築を行う.さらに,ヘテロ性を考慮し,かつ立体的・時系列的変化に対応したシミュレータにて,仮想培養(in silico culture)を実施する.このシステムバイオロジーを基盤としたシミュレーション構築を,組織レベル(巨視的レベル,mm,cmオーダー)での集塊増殖,分化,シグナリングの機構解明へ展開し,組織生産における工程管理ならびに品質管理への貢献を目指す. 平成23年度は,培養シミュレータの構築として,セルラーオートマトン法を用い,細胞挙動ならびに培養操作を加味した細胞挙動モジュール培養操作モジュールを組み合わせ,筋芽細胞の継代培養のシミュレーションを行った.また,5層の筋芽細胞積層シートにおいて,シートの流動性ならびに混在する繊維芽細胞の局在性(棲み分け)について,実挙動から得られる情報を基に,計算を行い,システムバイオロジーを基盤とした組織形成シミュレータの構築の完成度を高め,各モジュール化を構築した.今後は,板状集塊や球状集塊についての混在する細胞の挙動特徴に基づく棲み分け機構の解明を行ってゆく.
|