研究概要 |
濾胞樹状細胞(FDC)の細胞株FL-Yを用いてin vitro B細胞選択系を構築し、親和性成熟の基本的機構である胚中心B細胞の変異と選択の機構を解析した。さらにニワトリB細胞株DT40を用いてAIDによる変異導入機能について重要な新事実を発見した。概要は以下の3点である。 1)FDC、T細胞、B細胞の相互作用によるB細胞の選択機構; T細胞由来のIL-21単独ではB細胞の生存は促進されるが、FL-Y由来の低分子可溶性因子プロスタグランジンE2がB細胞にIL-21と同時に作用すると細胞死が誘導されることを見いだした。 この細胞死(アポトーシス)にはBimとそれの誘導に関与する転写因子Foxo1の発現促進が重要であることを明らかにした。 2)IL-34依存性新規単球系細胞FDMCによる、B細胞の増殖促進とセントロブラストへの分化誘導機構の発見; 我々は、FL-Y細胞と共培養により脾臓中のc-kit陽性前駆細胞から分化する新規な骨髄系細胞FDMCが、B細胞のセントロブラストへの分化,増殖を促進することを見いだした。また、FDMCの分化にはFL-Y由来のサイトカインIL-34が必須であることを見いだした。 3)DT40細胞を用いる抗体遺伝子への変異導入機構の解析; DT40の変異株DT40-ASFではAIDに依存する高頻度突然変異が全く入らないことを見出し、この変異株で欠損している遺伝子の解析から、splicing factor SRSF1のsplice variantであるSRSF1-3が、AIDの機能発現に必要であることを発見した。
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