研究課題
研究実施計画に記載した通り、バイオインフォマティクスの研究者が公共の遺伝子発現データから、間葉系幹細胞、脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞などを含むデータを取得して細胞分化DBの作製を行った。これらのデータから脂肪細胞分化を誘導すると見込まれる転写因子を取り出すため、デジタルディファレンシャルディスプレイ法を用いて転写因子候補100個をリストアップした。一方、実験研究者は間葉系幹細胞を購入して培養し、これに様々なsiRNAを自由に導入する系を確立した。また脂肪細胞への分化を確認するためオイルレッドによる油滴を画像解析する予定であったが、同時にPPARγその他数種類の脂肪細胞マーカー遺伝子の発現により分化の程度をRT-PCR法で確認する系を確立した。この系において候補遺伝子の上位30個から、脂肪細胞への分化を促進する誘導剤と同等の作用を持つ見込みのある遺伝子10個を抜き出し、これらを組み合わせて探索を行ったところ、これまで未報告の強い誘導作用を持つ遺伝子の組み合わせが見つかってきたため、国際学会で発表を行った。これは本研究の目的である細胞分化誘導経路の高速化をバイオインフォマティクスによって実現できることを示したよい例であり、得られた知見から転写因子の役割の違いを類推することまでも可能となることが示唆された。最後に計画書に記載した「細胞アレイ上で100転写因子に対するsiRNAを導入する系の確立」に関しては、当初計画調書に記載した予算が170万円減額されたため試薬代が不足し、次年度に実行することとなった。
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Methods in Molecular Biology, Vol.577(Humana Press Inc., U.S.A.)
ページ: 55-65