研究概要 |
まず,試験装置と同期した高速度ストロボカメラシステムを構築し,高速破壊現象を画像として捉えられるよう装置を改良した。次に,CFRP積層板について,速度域をM0.5~M1.5,球径を1.5~6mmの範囲で変えて,さまざまな衝撃エネルギーを付与した高速衝撃試験を行い,衝撃損傷(試験片表面,内部のクレーター,層内・層間損傷)を実験的に調べた。これにより,飛翔球の速度,吸収エネルギーと損傷挙動の関係をデータベース化した。特に,2種類の積層構成(一方向積層,クロスプライ積層)について,損傷挙動を比較し,両者の違いを明確化した。一方,有限要素法を用いて層間にコヒーシブ要素を導入して層間はく離を模擬するとともに最大応力説を適用した損傷進展シミュレーションを行い,実験結果を定性的に模擬することができた。 さらに,粒子法に直交異方性材料の構成則と破壊基準を適用することにより,CFRP積層板の高速衝撃損傷進展シミュレーションを行うための,基本的なコードを完成させた。二次元損傷進展解析を行った結果,実験から得られた損傷挙動と類似した損傷形態が得られた。 以上の研究成果により,以下の知見が得られた。(1)衝撃速度・エネルギーと損傷の関係が明らかにされた。(2)積層構成による損傷挙動の違いが明らかにされた。(3)上記の結果を有限要素法による損傷進展シミュレーションおよび粒子法により模擬することができた。以上の知見は,CFRP積層板を航空機のエンジンや機体の構造部材として適用する際の設計指針を与えることが期待される。
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