研究課題/領域番号 |
21360424
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
賞雅 寛而 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (20134851)
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研究分担者 |
波津久 達也 東京海洋大学, 海洋工学部, 准教授 (60334554)
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キーワード | 海洋工学 / 海洋保全 / 船舶・海洋構造物 / 防食技術 / 材料加工・処理 / 放射線,X線,粒子線 / 放射能 / 放射線誘起表面活性 |
研究概要 |
申請者らが開発した放射線誘起表面活性(Radiation Induced Surface Activation, RISA)による防食技術は酸化皮膜を介した電気化学反応である。この研究では、実海洋水中のSUSすきま腐食に対するRISA防食技術の開発が最終目的であり、使用環境で最も高いRISA効果を得られるように、最適皮膜を開発する必要がある。これまでの一連の研究により、自然放射能の100倍程度の放射線強度によりRISA防食作用が発現することが確認されているが、中性子放射化による放射性核種の利用は世界的にも取り扱いが制約され、放射線源の実際的使用は難しい。ここで海水中の自然放射能(バックグラウンド)は、ほとんど海水中のウラン・ラジウム系列の放射性核種によって生じており、これらの放射性核種を耐食材表面に濃縮させることにより、RISA防食効果発現が可能になる。またRISA効果による酸化還元反応によって微生物分解を生じ、長期にわたり海洋微生物を耐食性金属表面に付着滞積させず、結果としてこれまでに無い長期間メインテナンスフリーの防食効果が期待される。これまでの科研基礎研究によって、1.5mGy/h程度の微弱放射線によって不動態皮膜の耐食性を維持し、すきま腐食を抑制できることがわかった。 平成23年度はこの結果をもとに、自然海水中のすきま腐食特性を調べ、以下のような成果を得た。 1、1.5mGy/h程度の微弱放射線では、30℃程度の比較的低温域ではRISAによる防食効果が得られるが、45-50℃の比較的高温域では効果が得られにくい。このような高温域においてはさらに放射線強度が要されると考えられる. 2、実海水中において、RISAによる防食効果の温度依存性は、人工海水実験で得られた結果と同様な傾向を示した。
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