研究課題/領域番号 |
21360425
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
和泉 充 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (50159802)
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研究分担者 |
南 佳成 (独)海上技術安全研究所, 海洋開発系洋上浮体技術研究グループ, 主任研究員 (60399516)
富田 優 (公財)鉄道総合技術研究所, 材料技術研究部, 超電導応用研究室長 (40462915)
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キーワード | 海洋工学 / 海潮流発電 / 高温超電導 / 超電導発電機 / タービンプロペラ / 磁束ピン止め / バルク磁石 / 界磁-電機子構造 |
研究概要 |
1、バルク磁石により最大発電効率を得るための、最適な磁石の寸法と発生最大磁束を決定して海水流発電用小型回転機本体への適合性と適用限界を明らかにし回転機本体の試設計の改良と試作過程での検討を継続して行い、電機子端面領域で最大1.5-2.0テスラの着磁磁束の確保と磁石の保持温度を30Kとし、バルク界磁磁石の励磁方法と回転機本体の試設計とその改良を繰り返した(富田:鉄道総合技術研究所、和泉:東京海洋大学) 2、回転機本体の試作を行った。同時に必要なバルク超電導磁石の捕捉磁束を増大安定化させるために添加する磁性酸化物粒子の選択とバルク材料の改良・改質を繰り返して行った。得られた界磁磁石をkVAクラス試作回転機本体に実装してネオン熱サイフォンによる冷却と励磁・発電試験を行った結果、出力0.5kVまでの精密な発電機性能(回転数-出力特性等)の取得に成功した。バルク発電機として着磁時の安定的な機械的強度を確立した。ままた、この超電導発電機の適用限界として電機子構造など着磁と周辺技術のさらなる改良が必要であることが明らかになった。(和泉:東京海洋大学、村上【連携】):芝浦工業大学、井田【連携】:広島商船高等専門学校)。 3、1MW級までの超電導発電機とタービンの試設計にもとづき、発生トルクと発電機負荷トルクがつりあう平衡状態を求めてタービン直径ごとの性能を検討した。サイトの定格流速は1.5m/sから2.5m/sを想定した。結果として30mのタービン直径が適当と結論した。加えて、周辺設備の検討を行うとともに、kVAクラス試作機の発電試験と性能の一次評価を行った。(全員)。これらの成果から、立地性、システム、タービンプロペラ等設計から要求される海潮流発電用小型高効率回転機本体のバイタルパートの試作電気・機械設計と要素技術の指針をまとめる準備が整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超電導磁石を利用する要素技術は、バルク磁石の冷却、励磁、安定的界磁磁束の確保の観点で十分な成果をあげた。とくに機械的周辺設計は、実用に耐える段階に達したと言える。バルク材を利用した場合の捕捉磁束のさらなる増大(4テスラ以上)は効率向上にかかわる今後の課題である。また、kVAクラスの試作機とともにMWクラスの発電機の設計も行い、タービンシステムの準備的検討を行ったことは、今後の展望を十分に与えている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であり、共同研究体として次のステップを俯瞰した成果のとりまとめと今後必要な研究要素の抽出、共著論文等の成果の発表をめざす。 タービン側では、翼型、翼数を変えることで最大出力時の設計回転数を調整することができる。その効果の調査、さらに、発電機側でも負荷特性曲線を調整できるかどうかをkVA試作発電機の発電特性を検討し、回転数制御で負荷抵抗を変化させた場合の発電特性を推定する必要がある。 実海域に設置した場合の波浪や動揺の影響による負荷変動がロータのトルクに及ぼす影響も検討する必要がある。
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