研究概要 |
(1) 平成21年度に開発した局所熱伝達に基づく予熱ガス伝熱解析法を改良して,ピアシング中の被切断材加熱面温度の計算精度を向上させた.改良法の有効性は水素/LP混合ガス・LPガス火炎によるピアシング試験で実証された. (2) (1)で開発した改良手法により,切断時ガス条件における水素/LP混合ガス・LPガス予熱火炎での伝熱特性を計測した. (3) 移動熱源まわりの準定常熱伝導場を,計算モデル中の熱源位置が不変なまま解析できる,熱伝導有限要素計算コードを新たに開発した.開発コードの有効性は,移動する高周波誘導加熱コイルまわりの温度場を計算して,通常計算および実験結果と比較することで検証した. (4) Matsuyamaらの手法により,切断カーフ前縁形状からカーフ前縁温度分布を推定する解析システムを構築した. (5) 厚板鋼板の,水素/LP混合ガス・LPガス切断試験を実施し,切断中の被切断材温度およびカーフ前縁形状を熱電対および赤外線サーモグラフィーにより計測した.実験では,水素/LP混合ガス・LPガスともにLP用火口を使用し,ガス条件は火口メーカ推奨条件とした. (6) (5)で計測したカーフ形状から,(3)で開発した解析システムによりカーフ前縁温度を計算した. (7) (2)の予熱ガス伝熱特性と(6)のカーフ前縁温度を熱境界条件として,(3)の準定常熱伝導解析コードによりガス予熱切断中のカーフ周り温度場を計算した.計算した被切断の温度分布は,(5)の計測結果に概ね一致した.これにより,開発した準定常熱伝導有限要素計算コードと熱境界条件同定手法の有効性が示された.
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