本研究の目的は、クリーンエネルギーソースとしての洋上風力発電の開発研究であり、世界第6位という我が国の排他的経済水域を活用するために浮体式洋上風力発電を提案するものである。平成22年度の研究成果としては、2基の風車を搭載した直径2.4mの六角形浮体模型を用いて水槽実験を実施したことが上げられる。水槽中に3台の送風機を仮設して風を発生し、通常の波浪中実験とともに、風と波浪の共存場における浮体動揺の計測を行った。実機としては、直径60mの六角形浮体、設置海域としては水深100~200mの沿岸域を想定しており、浮体の係留法はテンションレグプラットホーム(TLP)係留とした。TLPの係留索は六角形のデッキ上において各辺の中央部から水底に下ろし、6本の係留索の張力を独立に計測した。風車模型は、直径0.6mの風レンズ風車であり、実機では直径約14mの100kWに相当している。 模型実験では、TLP係留なので、基本的に上下揺、縦揺はゼロであり、前後揺のみを浮体側面からビデオ撮影し、画像処理によって求めた。風力発電時と停止時の浮体運動に対する影響、風車と風向き角度の違いによる浮体運動への影響などについて実験した。現在は、この実験データの解析を行っているが、今回のように風と波を同時に発生して行う浮体式洋上風力実験は他に例がなく、得られた結果は非常に貴重である。今後は、この実験結果を元に、現在保有している数値計算プログラムの検証を行うとともに、さらなる発展として空気、海水、構造物の3者を一括して取り扱える数値解析手法を開発していくことを目指している。
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