本研究の目的は、クリーンエネルギーソースとしての洋上風力発電の開発研究であり、世界第6位という我が国の排他的経済水域を活用するために浮体式洋上風力発電を提案し、博多湾内における浮体式洋上風力発電の実証実験を側面から支援するものである。平成23年度の研究成果としては、2基の風車を搭載した直径2.4mの六角形浮体模型を用いて風と波の複合外力下での水槽実験を実施したことである。また、その水槽実験の結果を用いて、出力3kWの風レンズ風車を搭載する直径18mの浮体の基本設計を行い、博多湾における浮体式洋上風力発電の実証実験に関わる基礎的な研究開発を支えたことが上げられる。 暴風時の六角形浮体の流体力および動揺応答については、波浪と風を考慮した3次元CFD(Computational Fluid Dynamics)によるシミュレーションを行い、複合外力時の洋上風力発電浮体の安全性について考察を行った。その際、博多湾における設置海域の水深が約5mと浅いので、浮体の係留はアンカー・ロープによっているが、係留ロープの動的な運動解析はランプドマス法によった。また、洋上風力発電浮体の安全性を考える場合に重要となるのは、風車に加わる風荷重およびモーメントであるが、定常風については平成22年度の研究成果を用いた。ただし、実際の風は変動するので、その影響を考慮する必要がある。そこで、設置位置の水深、地形、航路、漁場との利害を考慮して候補地を絞り込み、次に、その地点での環境条件として、風、波浪を過去の統計データを元にして推定し、浮体の動揺、風力発電量、稼働率などの算定を行った。そのようなプロセスを経て、博多湾における直径18mの浮体式洋上風力発電プラットホームの基本設計を行った。
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