本課題ではマイクロカプセル技術を応用した樹脂硬化システムを開発し、船体の新規成形や補修への適用可能性を検証する。 マイクロカプセル封入硬化剤の製作に関する研究では、はじめに専門セミナーへの参加、特許情報の調査等により基本的な製法の把握を行った。その成果を元に、マイクロカプセルを試作するための装置設計・製作を行い、懸濁重合法、乳化重合法、界面重合法等の化学的方法を試みた。特に、本研究の目的である熱破壊性マイクロカプセル壁膜材にはポリウレタン系材料が可能性の高いことから、これに適した界面重合法に重点をおき、よるカプセル製作技術の習熟のため、油滴を芯物質としたマイクロカプセル調整実験から開始した。その結果、カプセル径のコントロール、収量向上についての特性を得た。さらに装置の改良を加えて、新物質を硬化剤に変更するとともに、製造したマイクロカプセルの効率的な精製分離法の検討を行った。 マイクロカプセル硬化剤による樹脂の硬化に関する研究では、ポリエステル樹脂等の高粘度液体中での粒子分散技術に関する調査ならびに、ホモジナイザーを用いての粒子分散試験を行った。また、エポキシ樹脂硬化剤封入マイクロカプセルについて、標準硬化剤との貯蔵安定性、硬化反応性の比較試験を行い、必要混入量、加熱条件等の基本データを得た。 さらに、得られた硬化樹脂の強度評価試験を実施し、従来品と同程度の強度特性を示すことを確認するとともに、あわせて、粒子分散複合材であるシンタクティックフォームについても曲げ・圧縮強度評価を行った。
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