研究概要 |
本研究はAEマルチブレットの特徴を利用した一連の解析技術をリアルタイムモニタリング技術として実用化するための手法,およびシステムの開発を目的として実施している。本年度の成果は以下の通りである 1.AEマルチプレット源の時空間解析による水圧刺激プロセス評価法の開発 -EU,オーストラリア,スイスの能動的地熱開発フィールドで得られたデータを平成22年度までに開発した手法により解析し,臨界間隙水圧,断層面解,応力降下量等の時空間分布を視覚化し,相互の関連性を検討した。 2.AEマルチプレットと大マグニチュードAEとの関連性の解明 -統計地震学の分野で用いられているETASモデルにAEマルチプレットの発生を定式化して組み込み,それによりマグニチュード評価するソフトウェアを試作した。 3.AEマルチプレットを音源とする水圧刺激領域内部および近傍の反射イメージング/トモグラフィ法の開発 -AEマルチプレットを音源として用いる反射法について,時間-周波数3次元コヒーレンス関数を用いて反射波の絶対・相対到達時刻を検出可能な手法を開発した。また,反射波の相対到達時刻情報を用いてインバージョン時に反射体の位置を限定可能であることを示した。 4.リアルタイム貯留層モニタリング/イメージングシステムの開発 -本システムが有する機能,GUI等について概念設計を行った。データ転送部,バッファメモリ,主メモリ,CPU等ホストコンピュータの使用を決定した。 -データフォーマット,ユーザ定義関数等,システムで共通に使用する部分の仕様を策定し,メインメニュー,AD変換制御・データ転送部分,AE/ノイズ判別部分等の主要な機能をコード化した。本研究を通じて開発した解析手法をコード化し,一部メインプログラムとリンクさせた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年度末の時点では多少の遅れが見られたものの,平成23年度末までの成果は,当初,研究計画書に記載した研究計画と整合していることから,おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は平成24年度が最終年度であり,そこでは,当初研究計画にあるように,AEを用いた貯留層リアルタイムモニタリングシステムの完成を目指す予定である。一方,本研究を通じて明らかになった,大マグニチュード誘発AEの発生特性やAEマルチプレットとの関連性については,本補助金による研究期間終了後に新たな研究課題としての展開を図ることを考えている。
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