研究概要 |
アルカリ触媒(KOH)を用いた既存のBDF合成系と我々が開発した液化ジメチルエーテル(DME)を添加した超高速BDF合成系に対して,反応物の仕込み量を変化させて,副生成するグリセリン相の凝集速度を測定した.液化DMEを添加すると,反応速度が速くなるだけでなく,凝集速度が3~5倍向上することが明らかとなった.また,その効果をUNIFACモデルから推定される平衡組成で説明できることを示した. 触媒をKOHから陰イオン交換樹脂などの固体触媒に換えて収率の観点から固体触媒のスクリーニングを行った.収率の高い固定化酵素触媒を用いて,液化DMEを含む有機溶媒を反応系の均一相化剤として添加し,BDF合成反応を行った.その結果,一部例外はあるものの,均一相化剤は反応を高速化させることがわかった.高速化の一つの理由として,均一相化剤は固定化酵素の凝集を防ぎ,効率的な反応系を維持できるためと考えられた. 液化DMEを抽出剤として,副生成したグリセリン相から過剰に添加したメタノールを抽出回収できるかどうかを検討するためには,DME+メタノール+グリセリン系の相平衡関係を十分に把握する必要がある.そこで,シンセチック型と循環型装置を併用して構成2成分および3成分系の気液平衡領域の沸点測定を行った.また,実測値を活量係数式によって相関することにより,実際の分離場となる3成分系気液液平衡関係を予測した. 開発した技術をベースとしたBDF製造プロセスの概略を描き,市販のシミュレータを用いてプロセス計算を行い,定常的に運転できることを確認しつつ,省エネルギー化に関する課題を抽出した.
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