研究概要 |
連続的に運転可能な流通型リアクターを試作し,固定化酵素を用いて液化DMEを共溶媒としたBDF高速合成を行った.フィード条件と滞留時間をパラメータとして,その反応特性を調べた.その結果,収率の向上にはDME添加量の増量と滞留時間の長時間化が有利であった.しかし,副生するグリセリン相の系外排出の観点からある程度の流速が必要であることも示唆された 一方,バッチ実験において反応容器の材質等の条件を変化させることによって,前年度に観察された酵素触媒の失活の原因(固定化酵素の凝集塊の生成)を明らかにした.凝集塊の生成を防止することにより,収率を1.4倍,つまり,収率を90%以上に向上させることができた.しかし,この防止策だけでは,得られたBDFがJIS規格を満たすことができないため,二段反応の適用を試み,その反応特性から反応収率99%以上を達成しつつ,JIS規格を満たすための操作条件を確立した メタノール回収を含め各プロセスの設計に必要な相平衡(例えば,メタノール-オレイン酸メチル系や液化DME-メタノール-オレイン酸メチル系等の構成二成分系や三成分系)を測定し,状態方程式をベースに平衡状態を表現可能なモデル式を提示した これまでの実験結果を踏まえてAspenPlusを用いて,研究開発した技術ごとにBDF製造に関するプロセス計算を行った.新規技術の適用時の動力や加熱負荷等の投入エネルギーの変化を調べるとともに,投入エネルギーの削減効果を試算した.液化DMEを用いることにより,35%程度の削減効果が算出された.また.固定化酵素を用いた連続合成手法を採用することにより更に半分のエネルギー削減の可能性も示唆された
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