レーザー3次元解析法による識別分離法の検討では、レアメタル回収を目的とする新規処理ルートに供給すべき廃小型電子機器として、Taコンデンサが多用されている2004年以前に設計された携帯電話を、既設の非鉄製錬ルートで処理すべきものとして、Taコンデンサの使用量が激減した2005年以降に設計された携帯電話を取り上げ、ソーティングによるこれらの分離を検討した。廃携帯電話のサンプル数を200種以上(前年度比2倍)に拡大し、Taコンデンサ多用携帯電話のソーティング分離試験を実施した。その結果、前年度までに作成した識別用アルゴリズムによって、データベースに未登録のサンプルについても70~80%の識別精度が得られること、識別に失敗したデータを抽出してニューラルネットワークを再学習させることによって、識別精度が90%以上に向上することを確認した。 選択粉砕技術の検討では、使用済みニッケル水素電池からNiやCo等のレアメタルを回収する新規プロセスの確立を目的として、正極構造が異なる2種類のニッケル水素電池の焼成物を対象に、粉砕及び磁力選別特性について検討した。その結果、発泡メタル式の正極構造からなるニッケル水素電池では、衝撃力を主体とする粉砕機を用いることで、Ni、CoとFeの粉砕物間の選択粉砕効果が発現し、乾式分級によってNi、CoとFeの高効率な分離の可能性が示唆された。一方、焼結式の正極構造からなるニッケル水素電池では、NiとFeの粉砕物間の選択破砕性を拡大することは困難であった。しかし、焼成条件を調整することで正極板の磁性を変化させることが可能であり、弱い磁場雰囲気下を瞬時に通過させるなど磁力選別機時の操作条件を適正化することで、粒度の類似したFeとNiを分離回収できる可能性が示唆された。
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