研究課題/領域番号 |
21360451
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
深田 智 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (50117230)
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研究分担者 |
片山 一成 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (90380708)
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キーワード | トリチウム / コンクリート / 防水ペイント / 多孔質 / プラズマ核融合炉 / 放射性同位元素 / 閉じ込め / 安全性 |
研究概要 |
核融合炉では、極めて大量のガス状放射性同位元素トリチウムを生産、回収、閉じ込めをする必要があり、三重閉じ込めシステムが一般的である。一次閉込容器を格納するグローブボックスあるいはセル(二次格納容器)では不活性ガス処理装置が常時作動し、わずかなトリチウム漏れも回収する。しかし、小さいながらも事故放出の可能性が避けられないので、緊急トリチウム回収装置を敷設した建屋を三次閉じ込めシステムとして必要なトリチウム閉じ込め機能が要求されている。本研究では、閉じ込め容器を構成する多孔質コンクリート表面での気体トリチウム移行挙動の定量的把握と、トリチウム透過阻止機能を持つ各種ペイント透過阻止能を材料的側面と化学工学的側面双方から解明するために計画された。 研究初年度には、1.0x10^<-2>Bq/cm^3-740Bq/cm^3までの広範囲にわたる気相トリチウム濃度条件で、セメントとモルタルのHTO拡散係数を求め(D_T=1.2x10^<-11>cm^2/s)、多孔質内の吸着が支配的に関与する拡散である事を明らかにした。またエポキシ防水ペイント塗布状態の拡散律速状態実現を明らかにし、D_T=10^<-16>cm^2/sである事を求めた。さらにシリコン防水ペイントは、疎水性が高く吸着量の小さいペイントであるが、内部に水分が移行しやすく、耐水性に劣る事が分かった。トリチウム移行性能は、各種ペイントの構造、すなわちOH基のあるなし、ベンゼン環の働き等によって生じることが化学分析で明らかになった。さらにトリチウムに汚染したコンクリートからのトリチウム除染のため水溶解法の試験をおこない、何も塗布していないコンクリートでは、数日で内部トリチウムの溶解流出に成功したが、防水性能の良いエポキシ塗料では放出に極めて長時間の保持が観察されたので、母材とペイントの剥離前処理が必要である事と判断された。 これらの研究成果は、数植シミュレーションの成果とともにIAEAの安全性会議で発表されるとともに、関連成果が原子力学会、水素関連の国際学会に発表された。
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