研究課題
核融合炉関連のトリチウムを大量に取り扱う施設で、トリチウム異常放出時に回収除去装置が作動し、直ちに回収する設計になっているが、施設境界を定める壁は多孔質コンクリートからなり、防水ペイントを塗布するにしても、漏洩トリチウムの一部は内部を拡散し、保有水と置換し長期間にわたり内部汚染をもたらす可能性がある-本研究では、建屋境界壁コンクリート内のトリチウム移行挙動把握と防水ペイントを使った移行阻止技術達成効果を、システム工学的手法と拡散吸着効果を定量化し明らかにするため計画実行し、今年度が研究の最終年度である。研究の最終年度では、コンクリートに何も塗布しない状態のものと、アクリルシリコンペイントかエポキシペイントを塗布した材料のトリチウム移行挙動を比較検討し、次の結論を得た.(1)コンクリートの多孔質部で水蒸気が移動し、骨材部分で拡散移動の寄与はない、従って、おおむね空隙率で内部の拡散が説明できる。(2)シリコンペイント塗布で1/10程度トリチウム拡散が阻止できるが、長期間の水との接触で塗布物自体が変質し、水蒸気保有率が上昇する。(3)エポキシ樹脂は、若干水蒸気吸着率が大きいが、トリチウム透過阻止率が大きく、長期間トリチウム水蒸気被曝でも変質は少ない。(4)トリチウム水蒸気の内部拡散は拡散方程式でうまく説明でき、コンクリート多孔質体内拡散係数は1.2x10^<-11>m^2/sであり、エポキシ樹脂ペイント拡散係数は1x10^<-16>m^2/sである。(5)トリチウム水蒸気吸着はHenry則に従い、トリチウム濃度が大きく変化してもこの関係は維持される.以上の結果は、一般の材料に適用でき、トリチウム移行予測に使用できる.成果を原子力学会英語論文や国際学会、国内学会等で発表した.
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http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/KOO1210/index.html