研究課題/領域番号 |
21360458
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
林 巧 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究主幹 (70354678)
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研究分担者 |
中村 博文 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究主幹 (20354615)
磯部 兼嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (00354613)
小林 和容 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (40354609)
大矢 恭久 静岡大学, 理学部, 准教授 (80334291)
奥野 健二 静岡大学, 理学部, 教授 (80293596)
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キーワード | 構造・機能材料 / 水素同位体 / 界面・表面物性 / 同位体効果 / 金属透過 / 重水素 / 鉄 / 酸化膜 |
研究概要 |
本研究は、金属一水界面での双方向水素移行挙動に関する同位体効果に焦点をあて、特に水状の水素同位体が金属界面でどのように振舞うのかを、高純度トリチウム及び重水素(D_2)と純NiやSUS316鋼等を用いた実験系と、数値計算機的手法を組み合わせて明らかにしようとするものである。 今年度は、高温耐圧水容器と重水を用い、「水側から金属試験体へ移行する水素同位体の挙動」について金属を替えて継続調査するとともに、界面での水素同位体挙動に影響を与え得る水ラジカルの挙動について、ガンマ線模擬体系での電子スピン共鳴(ESR)分析を異なる金属片共存下にて試みた。 以下に具体的成果を示すが、これら成果は、国内外の学会で報告し論文化した。 1.高温耐圧水容器に重水を入れ、300℃、15MPa(He加圧調整下)にて、容器内に設置したSUS316、純Ni、及び純鉄に10μmの金メッキを施した試料配管の内側へ移行するD_2量及び移行速度の経時変化と、表面酸化(腐食)の関係を確認し、昨年得られた純鉄の結果と比較した。 2.結果、SUS316やNi試料においても、十分有意なD_2の透過が観測された。昇温時の透過挙動の過渡変化に違いはあるが、300℃でほぼ定常的な透過が観測でき、本試験条件では、材料種によらず、純鉄と同程度のD_2透過量であり、試験後の試料表面には酸化物層が観察できた。一方、金メッキ試料では顕著なD_2の透過も表面酸化物層も観測できなかった。 3.D_2透過と重水-金属界面での酸化膜形成の相関は顕著であるが、実験後の重水中の金属(鉄)イオン等の優位な存在は確認できず、単純なSchikorr反応ではないことを確認した。 4.静岡大にて、Co60ガンマ線源を用いた模擬体系(2630Gy,77K)により、水ラジカルのESR分析を試み、金属片共存下でHO_2、O^-やHO等のラジカル種の生成と金属種による変化を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災で原子力機構のトリチウムプロセス研究棟が被災し、その復旧に予想以上にてまどったため、トリチウム実験が滞っているが、前述のように、重水/重水素での実験は想定以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度には、トリチウム実験の実施を計画しており、軽水素/重水素系の実験と総合して、研究目的を達成する予定である。
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