研究課題
本研究は税関や核廃棄物処理において要求されている、隠蔽された任意の物質を測定する手段として、原子核共鳴蛍光散乱を利用した非破壊同位体イメージングについて研究を行うものであり、当該年度においては、高エネルギー電子とレーザーの散乱によって生成した高単色性でエネルギー可変なMeV領域のγ線を用いて、2次元のNRFイメージングを試み、画像の取得に成功した。より具体的には、1)15mm厚の鉄遮蔽体中に隠された核物質を模擬した30mmx30mmx10mmの矩形の鉛(208Pb、52.4%)に対して、産総研の準単色γ線施設のLCSガンマ線ビームを照射した。照射したガンマ線は最大エネルギー5.6MeVでありエネルギー幅約5%で、5mmの直径を有する。このガンマ線を10mmのステップで水平、垂直方向にスキャンを行い、高純度Ge検出器(GEM-120-225-P)により、208Pbから共鳴散乱される5.512MeVのガンマ線を測定した。この結果、鉛が存在する照射点において、有為な5.512MeVのレベルの信号を検出するとともに、2次元画像を得る事ができた。2)一方、共鳴散乱ガンマ線の測定手法に関して、NRF散乱γ線を検出器で測定する方法(散乱γ法)、透過γ線のNRF吸収を測定する方法(ノッチ法)、被検出物質を検出器の前に置き、NRF散乱γ線が同じ物質に効率的に吸収されることを利用する方法(自己吸収法)について検討を行い、モンテカルロ法による計算を開始した。当該年度では、計算器環境の整備を行うとともに、計算のフレームワークとしてガンマ線と物質相互作用をシミュレートするコードとして定評のあるGEANT4コードを導入し、基本的な計算を行った。
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