研究課題/領域番号 |
21360467
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大垣 英明 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (10335226)
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研究分担者 |
豊川 弘之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (80357582)
羽島 良一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 主任研究員・グループリーダー (30218432)
早川 岳人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (70343944)
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キーワード | 非破壊同位体イメージング / 光核共鳴散乱 / レーザー逆コンプトンガンマ線 / 2次元イメージング / GEANT4 |
研究概要 |
本研究は税関や核廃棄物処理において要求されている、隠蔽された任意の物質を測定する手段として、原子核共鳴蛍光散乱を利用した非破壊同位体イメージングについて研究を行うものであり、当該年度においては、高エネルギー電子とレーザーの散乱によって生成した高単色性でエネルギー可変なMeV領域のγ線を用いて、3次元のNRFイメージングを試み、画像の取得に成功した。 より具体的には、1)15mm厚の鉄遮蔽体中に隠された核物質を模擬した30mmx30mmx10mmの矩形の鉛(208Pb、52.4%)に対して、産総研の準単色γ線施設のLCSガンマ線ビームを照射した。照射したガンマ線は最大エネルギー5.6MeVでありエネルギー幅約5%で、5mmの直径を有する。このガンマ線を10mmのステップで水平、垂直方向にスキャンを行い、高純度Ge検出器(GEM-120-225-P)により、208Pbから共鳴散乱される5.512MeVのガンマ線を測定した。この結果、鉛が存在する照射点において、有為な5.512MeVのレベルの信号を検出するとともに、深さ方向の情報を同時に得る事に成功し、3次元画像を得る事ができた。2)一方、共鳴散乱ガンマ線の測定手法に関して、GEANT4(モンテカルロ法による計算コード)の導入を行った。当該年度では、このGEANT4コードに原子核共鳴蛍光散乱の計算を付加し、11Bの2.12MeVの励起レベルに対して実験並びにその再現計算を行い、ピークの再現を見た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、光核共鳴散乱を用いた同位体イメージングに関する研究を行うものであり、平成23年度までに課題目標の2次元及び3次元イメージングに成功している。更に、鉛206、鉛208の同位体識別に成功し、1次元ではあるがマッピングにも成功した。研究計画では軽核(12C)に対しても行う予定ではあったものの、原理的には鉛サンプルで実証されており、最終年度までに実証可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は平成24年度が最終年度であり、軽核に対してイメージングを行う予定ではあるが、これまで実験を行ってきた実験施設が東関東大震災の影響で稼働できなくなってしまっている。このため、兵庫県立大学の施設を使用する予定であるが、光核共鳴散乱は始めての試みであるため、データ収集までに多少の時間が必要になる恐れがある。
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