研究課題/領域番号 |
21360469
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
岩瀬 彰宏 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (60343919)
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研究分担者 |
堀 史説 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (20275291)
岡本 芳浩 日本原子力研究開発機構, 量子応用部門, 研究主幹 (70370369)
石川 法人 日本原子力研究開発機構, 原子力基礎部門, 研究主幹 (90354828)
篠嶋 妥 茨城大学, 工学部, 教授 (80187137)
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キーワード | 原子力エネルギー / セラミックス / 格子欠陥 / 核燃料模擬物質 / イオン照射 |
研究概要 |
Gd203を添加したCeO2焼結体を作製し、Gdの添加効果を、放射光分光法と、コンピュータコードFEFFを用いて定量的に評価した。Ce原子とその最近接のO原子および第二近接のCe原子の平均距離は、EXAFS測定の精度の範囲では殆ど変化がない。しかし、原子配列の乱れを表すデバイワーラー因子は、Gd添加量とともに増加していくことがわかった。次に、これらの試料に対して200MeV Xeイオンを照射してEXAFSスペクトルの変化を測定した。その結果、Ce原子とその近接原子であるO,Ce原子の原子間距離は、イオン照射によって増加し、しかも、Gd添加量が多くなるにつれて、その増加量は大きくなることが判明した。またCe-O,Ce-Ce結合に対するデバイワーラー因子も、イオン照射により照射前と比較して大きく増加する。しかし、デバイワーラー因子の値は、Gdドープ量に対してはあまり変化しなかった。これは、イオン照射による原子配列の乱れが、Gd添加による乱れよりも大きいためであると考えられる。これらの結果は、Gdを添加した場合、さらにそれをイオン照射した場合においては、Gdを添加しないときに比べて照射効果がより顕著に現れることを示している。この結果は、実際に可燃毒Gdを添加した核燃料の照射挙動の議論においても重要なデータである。さらに、高速イオン照射によってCeO2に磁性が発現することも見出された。UO2へ高エネルギーイオンビームが照射されたときの結晶構造緩和を分子動力学法により計算した。イオンによって与えられた高密度エネルギーは、0.3psという短時間のうちに結晶構造を変化させ、その後、通常の熱拡散過程で試料中を緩和していくことなどが分かった。以上の実験及び計算結果は、国際学会(EMRS,REI)や金属学会で発表するとともに、論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は、異種元素であるGd2O3を添加したCeO2焼結体において、特に放射光分光を用いたXAFS測定に関する系統的な結果を解析することにより、添加元素効果や、高エネルギーイオン照射効果に関する定量的が議論を行うことができた。また、UO2に関する重イオン照射効果の動分子力学法(MD)による計算機シミュレーションも順調に遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、24年度が最終年度であるため、研究のまとめを行うことに重点をおく。世界的にもあまり例をみない、イオン照射効果の放射光分光による評価結果に関して、さらにデータを加えることによって、定量的な総括を行う。また、計算機による照射効果のシミュレーション結果と実験結果を総合的に考察したまとめを行っていく。
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