研究課題/領域番号 |
21360471
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
大島 武 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (50354949)
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研究分担者 |
小野田 忍 独立行政法人 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (30414569)
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キーワード | 炭化ケイ素(Sic) / MOSキャパシタ / イオン照射効果 / 電荷収集 / 結晶損傷 / 界面準立 |
研究概要 |
n及びp型4H-及び6H-SiCエピ基板上に乾燥酸素や水蒸気、さらに酸化後熱処理を用い、MOSキャパシタを作製した。作製したMOSキャパシタの電気特性(容量-電圧特性、電流-電圧特性)を評価した後、MOSキャパシタへMeV級のエネルギーを有する酸素(O)イオンを入射し、ゲート酸化膜を介して観測される誘起過渡電流を計測した。また、結晶損傷がイオン誘起電荷に及ぼす影響を調べるため、n型Sic基板上に作製したpnダイオードに電子線を照射することで結晶損傷を導入し、Oイオン入射により誘起される電荷の変化を調べた。具体的な成果を以下に示す。 1.1180℃での乾燥酸素による酸化後に、800℃で水蒸気処理を行い作製したゲート酸化膜を有するMOSキャパシタは、酸化膜のリーク電流がpAオーダー以下であり、イオン照射試験に利用可能な試料を作製することが出来た。 2.Oイオン入射によってMOSキャパシタのゲートから観測されるイオン誘起過渡電流のピーク値が、入射Oイオン数の増加と共に減少すること、更に、照射後、MOSキャパシタに順方向バイアスを印加することで、過渡電流ピーク値が元に戻ることが判明した。このことから、ピーク値の低下は結晶損傷による永久的なものではなく、帯電している深い界面準位が、イオンにより誘起された電荷により中性化することが原因であることが示唆された。 3.SiC中の炭素(C)イオンのみをはじき出す200keVの低エネルギー電子線照射を行い、収集電荷量に及ぼす変化を評価したところ、電子線の照射量の増加と共に電荷量が低下した。これより、電荷収集量を低下させる欠陥としてC関連欠陥が関与すると結論できた。
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