研究課題/領域番号 |
21360475
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
大貫 敏彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主席 (20354904)
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研究分担者 |
香西 直文 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (80354877)
田中 万也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (60377992)
宇都宮 聡 九州大学, 理学研究科, 准教授 (40452792)
鈴木 義規 東京工科大学, 応用生物学部, 助教 (20455281)
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キーワード | 微生物 / 核種移行 / コロイド / 地下水移行 / アクチノイド / 化学状態 / サイズ排除カラム |
研究概要 |
本研究は、地層処分の安全評価モデルの信頼性向上に貢献するため、微生物によるコロイド(BGコロイド)の生成と核種移行への影響の理解をベースとして、動的な系で生成するコロイド態核種の化学状態の解明を図ることを最終目標とする。コロイド態の核種移行解明には ・BGコロイドの生成条件と特性を明らかにすること ・BGコロイドと相互作用した核種の化学状態を明らかにすること、及び ・地下環境でのコロイド態核種の安定性を明らかにすること、が必要である。22年度は、BGコロイドの生成について調べるため、酵母細胞表面に希土類元素(Yb)リン酸塩鉱物を生成する実験を行った。水溶液中のYb濃度は、酵母添加により減少した。溶液から分離、洗浄した酵母細胞をSEM及びTEMにより解析した結果、接触後24時間では細胞表面に沈殿物は観察されなかったものの、EDS分析によりYbは検出された。酵母添加後5日後には、Ybリン酸塩ナノ鉱物の生成が確認できた。TEMによる分析では、明確な結晶の形成は認められなかった。そこで、酵母細胞に濃集したYbの配位環境を調べるため、EXAFS解析を行った。酵母細胞に濃集したYbの配位環境は、接触後30分の試料では、リン酸基あるいはカルボキシル基に吸着したYbの配位環境とほぼ同じであった。5日後の試料では、リン酸塩鉱物の標準試料と同じ配位構造であった。さらに、酵母細胞にYbを30分間吸着した試料を遠心分離及び洗浄により回収し、Ybを含まない水溶液に添加する実験をおこなった。5日以上した接触した試料SEMで分析したところ、細胞表面にYbリン酸塩ナノ鉱物が生成していることを確認した。 これらの結果から、Ybリン酸塩鉱物化は細胞表面に吸着したYbが細胞内から排出されたリン酸と結合して鉱物化することを初めて明らかにした。
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