研究概要 |
本研究では,世界のサンベルト地域で得られる1000~1500℃の高温太陽集熱をエネルギー源として反応性セラミックによる二段階水熱分解サイクルによってソーラー水素の製造を行う2つの異なるコンセプトのソーラー反応器(発泡体デバイス型反応器および内循環流動型反応器)のプロトタイプを3~5kWで作製し,これを太陽炉シミュレータあるいはディッシュ型太陽集光器(韓国インハ大学所有)を用いて性能評価することを目的とする。今年度は下記の研究成果を得た。 1)水分解性セラミックのフェライト/ジルコニア担持体についてMn,Niの2金属ドープ系とジルコニア担体の結晶系を変えて反応性を調査し,NiFe_2O_4/m-ZrO_2が最も高い活性を有することを見出した。 2)NiFe_2O_4/m-ZrO_2を担持した発泡体反応デバイスを作製し,1kW太陽炉シミュレータによる活性試験でサイクル反応を行なうことが出来た。 3)5kWディッシュ型太陽集光器用として1号器を設計,作製した。これに合う大型発泡体反応デバイスを作製し,反応試験を行い,水素をフェライトの反応効率約80%で太陽熱により生成することが出来た。しかし,反応器・デバイスの耐久性に問題があったこどから,現在反応器・デバイスの改良を行っている。 4)もう一つの新型ソーラー反応器である内循環流動層反応器については,大幅にシステムを改良し,二段階サイクル反応を一段階プロセスとして実施できる画期的な反応器システムを開発することに成功した。この新型システムによる反応器を国内特許として出願した(特願2009-275837)。
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