1. サブナノイオン移動経路を持つ物質の合成及び評価 鉄系レイヤー構造酸化物CaFeO_2を合成して、リチウムのインターカレーション特性を調べた。リチウムを対極として、可逆な充放電が可能であったが、格子定数の変化などのリチウムのインターカレーションを示唆する結果は得られなかった。鉄系酸化物が分解し、Li_2Oおよび鉄が生成する典型的な電位の0.9V付近で反応が見られたため、コンバージョン反応が起こったと考えられる。1サイクル目で約1050 mA h g^<-1>という大きな還元容量が見られたが、コンバージョン反応だけでは理論容量は約836 mA h g^<-1>であるので、さらに210 mA h g^<-1>以上も大きな値であった。CaはLiと合金化することが知られているため、低電位まで還元が進むと、合金化反応が起こったと考えられる。この場合、全容量は約1336 mA h g^<-1>となるため、分極を抑えることでさらに高い容量が期待できることが示された。 2. ナノ-メソイオン移動経路をもつ複合体の評価 マグヘマイト(γ-Fe_2O_3)を用いたナノ-メソ構造複合体であるマグヘマイト/ケッチェンブラック(KB)複合体を作用極とし、対極にはLi金属を用いて二極式のリチウム-空気電池セルを作製した。KBのみでは、1サイクル目のクーロン効率は46%と低く、2サイクル目以降に急激な容量低下が見られたが、マグヘマイト/KB複合体では、1サイクル目のクーロン効率は94%に向上しており、放電生成物(Li_2OあるいはLi_2O_2)が酸化的に分解できたことを示す結果が得られた。15サイクル以降で急激な容量低下が見られたが、僅かに残留した放電生成物により反応サイトが塞がれることに起因すると考えられる。この急激な低下が起こる前は、ほぼ一定の容量が維持できており、可逆なサイクルが可能であることが示された。
|