研究課題
1.綱引き型制限酵素の複製フォークの切断。モデルDNA複製フォークを綱引き型制限酵素が切断するかを検討した。I型制限酵素EcoR124Iが、フォーク分岐点を切断することを証明した。DNA損傷時に細胞死を起こさせるという役割を提唱した。IV型制限酵素McrBCが、フォーク分岐点を切断することを証明した。ゲノムDNAのエピジェネティックな修飾の高感度での検出と排除という役割を提唱した。2.網羅的なゲノム比較解析による、制限修飾遺伝子とゲノム再編の関わりの解明。近縁細菌のゲノム間で網羅的ゲノム比較を行い、大規模ゲノム多型(挿入欠失、置換、逆位)に連鎖している制限修飾系遺伝子を探索した。「長い標的配列の繰り返しを伴う挿入」を、II型、I型、III型、IV型の制限系について発見した。制限修飾系が繰り返し配列に挟まれていることが多い事を示した。逆向き繰り返し配列に挟まれたDNA型トランスポゾン様の制限修飾遺伝子、サイト特異的組み換え酵素遺伝子ホモログとともに挿入されている制限修飾系遺伝子ホモログなど、制限修飾遺伝子の動く遺伝子としてのあらたな形を発見した。それらのうち別のファミリーのISの順向き配列に挟まれた形のものについて、中の遺伝子がコードする制限酵素R.Plu TIを精製し、認識配列と切断サイトを決定した。反応機構を解析しIIF型であることを示した。隣接修飾遺伝子ホモログの発現実験から、それらが制限修飾系を作ることを示した。ピロリ菌種内比較から、染色体逆位に連鎖したDNA重複機構を発見した。3.スモールRNAによる発現制御。EcoRI遺伝子内の逆向きのプロモーターからのアンチセンスRNAが、修飾遺伝子プロモーターからの発現へ影響することを発見した。4.制限修飾系がISによってゲノム内で転移する事を示した。制限修飾系は、転移の起きた細胞を選択的に生き残させる効果がある。5.I型制限修飾系の配列特異性サブユニットについて、「ドメイン間の配列移動」という新しい遺伝子再編機構を発見した。これは、メチル化配列の変換をもたらし、エピゲノムの多様化に寄与すると推定した。6.日本のピロリ菌の全ゲノムを解読し、世界の株と比較し、その特徴を明らかにした。7.制限修飾系の使用によって、実験進化を加速した。8,ピロリ菌cagA発がん遺伝子の組み換えによる進化を明らかにした。
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Nucleic Acids Research
巻: 39(20) ページ: 9034-9046
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American Journal of Biochemistry and Molecular Biology
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http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/ikobaya/publication_ja.html