研究課題
多様な制限修飾系が、ゲノムをどう造り替えてきたかを、ゲノム比較と実験から明らかにした。1.EcoRI制限酵素遺伝子内の逆向きのプロモーターからのアンチセンスRNAが、修飾遺伝子プロモーターからの発現へ影響すること、EcoRIによるホストゲノム攻撃に影響することを発見した。制限修飾系の使用によって、細菌の実験進化を加速することに成功した。生き残り株では、細胞間コミュニケーションに関する遺伝子などが変異によって壊れていた。制限修飾遺伝子の自己増幅と制限修飾系の間のメチル化サイトをめぐるせめぎ合いの生物学的意義を検討した。2.綱引き型制限酵素による複製フォーク切断。IV型(メチル化DNA特異的)制限酵素McrBCが、両腕にメチル化のあるモデルDNA複製フォークで、分岐点を切断することを証明した。「ゲノムDNAのエピジェネティックな修飾の高感度での検出と排除」という役割を提唱した。3.IV型(メチル化DNA特異的)制限酵素McrBCの働きに基づいて、細菌をモデルホスト、ファージをモデル病原体とする大規模感染実験系を作り、数理モデルおよびシミュレーションとリンクさせた。「感染に対する自殺型防御」戦略が、空間構造のあるところで成り立つことを、明らかにした。生き残り病原体には、ホストに自殺させない変異が起きていた。4.日本のピロリ菌4株の全ゲノムを解読し、世界各地の株と比較し、その特徴を明らかにした。モリブデンに関する遺伝子機能が、東アジア株では壊れていた。ピロリ菌10株の全ゲノム配列から、相同組換えの痕跡を数え上げ、それらの多い遺伝子少ない遺伝子を明らかにした。ゲノム配列比較から、一つの遺伝子の複数のサイト間をドメイン配列が動く「ドメイン間の配列移動DoMo」という新しい遺伝子再編機構を発見した。これは、1型制限修飾系の配列特異性サブユニットで起きており、メチル化配列の変換をもたらし、エピゲノムの多様化に寄与すると推測した。これからエピジェネティクスに駆動される適応進化という新しい進化機構モデルを提出した。III型制限修飾系のゲノム配列比較から、DNA配列認識ドメインが、非オーソロガスな制限修飾系の遺伝子間を動き回ることを発見した。
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