研究概要 |
22年度において、TrinidadとTobagoの野外13集団においては、LWS遺伝子の4遺伝子座、SWS1,RH1遺伝子座、比較参照遺伝子として、核DNAの8領域の配列を決定した。これらの配列データを用いて、Tajima's Dを計算した。さらに、参照配列を元に、コアレッセントシミュレーションを行い、計算されたTajima's Dが参照配列に比べて、有意に正あるいは負に偏っているかを調べた。さらに、シミュレーション手法を改良し、自然選択の検出をより信頼のできる方法に変更した。自然選択によってDivergent Selectionが働いている可能性が確実になった。 さらに、LWS-1,2,3の配列の異なる個体を用いて、その発現量と光感受性、雌の雄のオレンジ色に対する選好性を調べた。ある特定の遺伝子型では、LWS-2がほとんど発現していないことがわかった。これは、LWS-2の上流にある制御部位の変異であると考えられた。また、LWS-2の発現しない個体は、光感受性が高く、これは他のLWSの発現量との関係であると推測された。また、LWS-2の発現量の多い個体は、オレンジ雄をより選好する傾向にあり、LWS1の発現量が高い個体は、オレンジのスポットの小さい雄をより選好する傾向にあった。これらの結果から、530-570nmの光感受性およびオレンジスポットの大きい雄の選好性には、LWS1,2,3の発現量の違いが影響することが明らかになった。
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