研究課題/領域番号 |
21370010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀 道雄 京都大学, 理学研究科, 教授 (40112552)
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研究分担者 |
山岡 耕作 高知大学, 大学院・総合人間自然科学研究科, 教授 (20200587)
幸田 正典 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70192052)
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キーワード | 左右性 / 水生動物群集 / 頻度異存淘汰 / 捕食被食関係 / 生物多様性 / 交差捕食 / タンガニイカ湖 / 琵琶湖 |
研究概要 |
全ての魚類が左右性を持つことを実証するために、現生魚類の全62目から代表1種を選び、各10個体について下顎の左右差および頭骨の角度を測定した。その結果、これら全ての魚種に統計的に有意な左右性の二型が存在することを確認した。 魚類群集の左右性の動態については、琵琶湖とタンガニイカ湖の継続調査地にて、琵琶湖では6-7月、タンガニイカ湖では10-12月に現地調査を実施し、タンガニイカ湖では沿岸岩礁域に生息する全種について左右性の振動が明らかとなり、その振幅は約0.3、周期は約5年であることが示された。琵琶湖では沖帯性のアユとその捕食者ハスについての比率を解析したところ、やはり振動しており、その振幅は約0.3、周期は約6年であることが明らかとなった。さらに、帰化種のオオクチバスと在来種のヨシノボリの捕食被食関係においても、交差捕食と比率の年変動がしめされ、この交差捕食の卓越という現象が進化的に培われた相互作用ではなく、捕食者と被食者個体の利きという運動力学的な対応関係で生起することが示された。 また、タンガニイカ湖の捕食魚の胃内容分析から、各利きの捕食者は逆の利きの捕食者を多く捕食しており、この傾向は琵琶湖のハスとその被食者アユについても認められた。この「交差捕食の卓越」が左右性の振動を生む主動因と考えられた。この予測を確かめるために、数理モデルを使ったシミュレーションを行ったところ、確かに交差捕食がなければ比率の振動は生じないこと、また左右性という種内二型の存在は捕食者-被食者の系を安定させ、両者の共存を導くことが示された。 さらに、メダカ、シクリッドの1種、ゼブラフィッシュを用いた交配実験をF2世代まで行い、左右性の遺伝様式がメンデル遺伝であることを示すことができた。 また、海洋無脊椎動物の左右性の動態について、フィリッピン海パナイ島周辺でコウイカとエビ類の左右性の動態を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象とした水生動物の分類群ごとに、左右性の形態的二型の定量化、行動的な左右性、遺伝様式、捕食被食関係における左右性の偏り、左右性の比率の年変動のそれぞれを示すことができた。また、それぞれの成果を国際誌に発表または発表準備ができた。
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今後の研究の推進方策 |
得られた成果をすべて国際誌に発表する。 また、動物群集における動物群間の捕食被食関係における左右性の対応を分析する。具体的には魚類と甲殻類、魚類と頭足類、頭足類と甲殻類間の関係を解明する。また、甲殻類としてはエビ類の左右性を解明してきたが、今後は動物群集におけるもうひとつの重要な構成員であるカニ類に注目した左右性の問題を展開する。
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