研究課題/領域番号 |
21370011
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
工藤 慎一 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (90284330)
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研究分担者 |
上野 高敏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60294906)
弘中 満太郎 浜松医科大学, 医学部, 助教 (70456565)
野間口 眞太郎 佐賀大学, 農学部, 教授 (80253590)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 親の投資 / 利害対立 / 給餌 / 栄養卵 / ツチカメムシ類 |
研究概要 |
◯親子間の振動信号:昨年度ベニツチカメムシで発見された,巣内に果実を持ち込む際に雌親が発する給餌音の機能を検討した。巣内に人為的な給餌音を与える実験の結果,給餌音を与えた方が幼虫が速く果実に集合するという結果が得られた。また,果実当りの幼虫数が増すと,幼虫1頭当たりの摂食量が増加した。雌親の発する給餌音は,摂食効率を高める集合効果を通じて幼虫発育を促進するものと考えられた。 ◯栄養卵生産に対する捕食者の影響:これまでの研究で,シロヘリツチカメムシの保護雌は高い捕食圧下にあることが分かっている。体の一部が損傷している保護雌は野外で高頻度で発見され,これら損傷雌では孵化前栄養卵数が増加する傾向が見いだされた。この現象の適応的意義の検討は今後の課題である。 ◯保護雌の転卵行動:昨年度フタボシツチカメムシで発見された,卵塊保護期間中に雌が卵塊の上下を回転させる転卵行動の適応的意義を検討した。野外における巣内の温度環境を模倣した条件を設定し保護雌を除去したところ,明らかな胚子発生の非同調が生じた。一方,対照区や人為的に卵塊を回転させた実験区では,胚子発生はほぼ同調した。これらの結果は,雌親による転卵行動が胚子の経験する温度を調節し発育を同調させる機能を持つことを示している。 ◯給餌資源をめぐる家族間の相互作用:野外における追跡調査の結果,ミツボシツチカメムシでは保護期間中に異なる家族の融合が高頻度で生じていることが判明した。この家族融合は幼虫の孵化後に生じており,結果として複数の雌親が同一巣で保護を行う共同繁殖が成立しているものと推測された。単独雌巣と複数雌巣を比較したところ,後者で幼虫当りの給餌種子数が増加することが明らかになった。さらに,孵化の非同調と幼虫による卵食も観察され,融合に伴い家族メンバー間に複雑な相互作用が生じていることが示唆された。詳細の検討は今後の重要な課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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