研究課題
MCA1とそのパラログであるMCA2はCa^<2+>透過性の機械受容チャネル活性もつ。一般的に機械受容チャネルは非選択性イオンチャネル活性をもつので、MCA1とMCA2もCa^<2+>以外のイオンを透過させる能力をもつ可能性が考えられる。また、MCA1とMCA2は透過させたCa^<2+>を通して、イオンストレス応答に関与している可能性も考えられる。そこで、平成22年度は、幾種かのイオンストレスへの応答機構を明らかにするためにMCA1遺伝子とMCA2遺伝子の変異株を使って研究を行った。具体的には、種々のイオンを培地に加えた時のMCA1遺伝子とMCA2遺伝子の欠損株の生育を調べた。その結果、mca1 mca2二重欠損株が野生株に比べ140-160mM NiCl_2、160-220mM CoCl_2および65mM KClに感受性を示し、1.0-1.4mM CrO_3[Cr(VI)]に耐性を示した。また、MCA2過剰発現株は65mM KClに耐性を示した。これらの結果は、MCA1とMCA2がNi^<2+>、Co^<2+>およびK^+のストレス耐性に対して正に制御していることを示唆し、Cr(VI)に関してはその透過の制御に関与していることを示唆する。このことは、MCA1とMCA2の発現を制御することにより、これらのイオンストレスに強い植物体を作出する道を開くという意義がある。
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