研究課題
シロイヌナズナのMCA1とそのパラログであるMCA2はCa^<2+>透過性の機械受容チャネル活性もつ。機械受容チャネルの開口は、膜の伸展や歪みによって引き起こされる。このような膜の物理的変化は温度の変化によってももたらされる。そこで、低温刺激がMCA1とMCA2の活性化を引き起こすという仮説を立てて、Ca^<2+>発光タンパク質であるエクオリンを発現しているmca1欠損株、mca2欠損株およびmca1 mca2二重欠損株を用いて、MCA1とMCA2の低温刺激に応答における役割を調べた。既にmca1 mca2二重欠損株では、3℃の低温刺激後の[Ca^<2+>]_cytの上昇の程度が野生株の約半分であることを見出していたので、今年度はまずそれぞれの単独欠損株における[Ca^<2+>]_cytの上昇を調べた。その結果、この2種の単独欠損株と二重欠損株における[Ca^<2+>]_cytの上昇の程度が定量的に同じであった。このことは、MCA1とMCA2が低温刺激の感受において協調して1つの感受システムを構成していることを示唆する。次に低温により発現が誘導されることが分かっている転写因子CBF1に注目し、上記の3種の欠損株における誘導性を調べた。その結果、この3つの欠損株において野生株よりもCBF1 mRNAの発現量が低下していることを見出した。低温センサーは未だタンパク質レベルで明確に特定されていないので、本研究はそのセンサーの発見に繋がると期待される。MCA1とMCA2のイオン刺激への応答に研究において、MCA2過剰発現株は培地の通常のCa^<2+>濃度(3mM)の10倍濃度になると、生育が著しく制限されることを見出した。MCA1過剰発現株も同様の表現型を示すので、両タンパク質が植物のCa^<2+>依存的な生育制御の重要な一端を担っていることが示唆された。
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10.1007/s10265-011-0462-6
http://www.u-gakugei.ac.jp/~iida/