研究課題
2008年に、申請者らは、イネGID1タンパク質の構造解析結果を得た。その結果を受け、活性型GAを再定義すること、ならびに構造解析で得られたジベレリンとの結合に重要なアミノ酸が植物においてどの程度重要であるかを、形質転換体を作成して調べることを目的とした。本年は、特に、受容体側の変異によるジベレリンの結合活性の変化について調べた。その結果、活性型ジベレリンの3位の水酸基と結合する3つの親水的アミノ酸の寄与率は3つで異なり、最も寄与率の小さな127番目のセリンが最も寄与率が少なくこのアミノ酸がシダにおいて変異していることがわかった。このことは、シダにおいては、3位の水酸基の認識は、被子植物のものに比べ認識は甘いものの3位水酸基が活性型ジベレリンとしてシダの時点で確立していたことを意味する。一方、活性型ジベレリンには、2位に水酸基がないことが必須であるが、この水酸基を許容しないためには、133番目のイソロイシン、330番目のロイシンが重要であることが構造上推定されている。変異型を形質転換したイネの表現型による結果は、この2つのアミノ酸が同程度に寄与し、さらにそのシダ型への変異が2位水酸基を許容することがわかった。このことは、シダにおいては2位水酸基を許容できる受容体構造であったことを意味する。さらに、ジベレリン受容体に対するイントラジェニックサプレッサー変異体の解析結果からジベレリン受容体構造のリッド部分の開閉が変化することによりジベレリン受容のアフィニティが変わった変異を発見した。そのようなリッドの開閉が変化した変異は、アラビドプシスのAtGID1bの特徴とよく似ていたことから、双子葉の一部において共通に存在する特殊な受容体の性質であることが明らかになった。
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