研究課題
ジベレリン(GA)は植物の伸長成長に顕著な促進作用を示す植物ホルモンである。生理学的実験からはGA信号伝達にはCa2+の関与が示唆されたが、その実体は不明であった。我々はGA生合成酵素遺伝子の転写因子RSGの機能を制御するキナーゼとしてCa2+依存性タンパク質リン酸化酵素NtCDPK1を同定した。NtCDPK1はRSGをリン酸化しRSGと14-3-3の結合を促進する。前年度までの研究でNtCDPK1はRSGだけでなく14-3-3とも結合することを見出した。本年度はNtCDPK1と14-3-3の結合は自己リン酸化依存的であることを明らかにした。Ca2+ によってNtCDPK1が活性化されるとNtCDPK1はRSG、14-3-3とヘテロ三量体を形成すると考えられた。NtCDPK1はRSGキナーゼの活性に加えてシャペロン様の機能を有しており、RSGをリン酸化すると同時に自身に結合していた14-3-3をRSGに受け渡すことでRSGと14-3-3の結合を促進することが示唆された。大麦の糊粉層のプロトプラストを用いた実験ではGA処理後5時間程度で細胞内Ca2+濃度が上昇することが報告されていた。しかしこの濃度上昇はGA信号伝達に直接関与しているとするにはあまりに遅い反応である。そこで我々はCa2+センサーを用いてGAと細胞内Ca2+濃度の関係を解析した。その結果、従来報告されていたよりも早くGA処理により細胞内Ca2+濃度が上昇することが示された。またCa2+信号伝達の阻害剤の添加によりGAによる遺伝子発現制御が抑制されることが明らかになった。これらの結果はCa2+がGA信号伝達に直接関与していることを示唆している。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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