研究概要 |
(1)cZの配糖化酵素cZOGT遺伝子の特徴付けと過剰発現体の解析 イネのサイトカイニンO-グルコシル化酵素、Os04g0565400,Os04g0556500,Os04g0556600の過剰発現体の表現型を詳しく解析した結果、Os04g0565400,Os04g0556500過剰発現株では冠根数が減少、地上部の半矮化、老化が遅延などの共通する表現型が観察された。過剰発現体の独立したラインを用いてマイクロアレイ解析を行い、過剰発現体において発現レベルの変化した遺伝子の全体像の把握を試みたが、この表現型を説明しうる注目すべき遺伝子は見いだせなかった。 (2)イネにおけるサイトカイニン誘導性遺伝子発現へのシスゼアチンの影響の検討 イネのサイトカイニン誘導性遺伝子として知られるType-A OsRR遺伝子のトランスゼアチンとシスゼアチンの濃度依存性を調べたところ、OsRR1,OsRR2,OsRR9/10などで同程度の濃度による発現誘導効果がみられた。さらに根の伸長阻害を指標にトランスゼアチンとシスゼアチンの作用濃度の違いを調べたところ、10nMという低濃度でシスゼアチンがトランスゼアチンと同程度に種子根の伸長を阻害することが明らかとなった。シロイヌナズナではこのような阻害がみられず、少なくともイネではシスゼアチンが活性型サイトカイニンとして機能しうることが示された。 (3)cZの配糖化酵素cZOGTの芳香属型サイトカイニン配糖化の生物学的な意味についての検討 イネの植物体内にトポリンなどの芳香族型サイトカイニンがどの程度存在するかについて解析をすすめたが、いかなる解析においても芳香族型のサイトカイニンはイネ体内に検出されなかった。よって、なぜcZOGTが芳香族型サイトカイニンに高い反応性を示すかという問いについては解決できなかった。
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