研究課題
本研究は、生殖細胞系列の発生運命決定機構、および生殖細胞系列の性差形成機構を解明することを目的とする。平成22年度は、1)Nanos依存的に翻訳制御されるRNAのスクリーンにより、細胞分裂の制御に関わるtwins RNAがNanos依存的翻訳活性化を受けることを示唆する結果を得た。これまで、Nanosは、翻訳の抑制のみを行うと考えられてきたが、この成果により、Nanosの新たな機能が明らかとなった。2)始原生殖細胞の性決定は、Sxlによる自律的な雌化と生殖巣による非自律的な雄化の2段階で進行すると考えられる。これまでに、Sxlにより始原生殖細胞の自律的な雌化が誘導されることが明らかとなっている。平成22年度は、Sxlの機能を低下させた場合に、始原生殖細胞の雌化が阻害されることが明らかとなった。また、Sxlを強制発現させた雄始原生殖細胞が、雌の体細胞中において卵に分化することも種々の実験により確認された。以上のことは、Sxlが、始原生殖細胞の雌化を引き起こすために必要十分な機能を持つマスタージーンであることを示す。しかし、Sxlを強制発現させた雄の始原生殖細胞は、雄の体細胞中では精子に分化することから、雄の体細胞は、Sxlの働きをキャンセルすることが出来ることも明らかとなった。現在、雌特異的なSxlの活性化に関わる遺伝子や、Sxlにより活性化される遺伝子カスケードについても解析中である。
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