研究課題
本研究の目的は、ハプト+クリプト生物群に含まれる可能性のある捕食性メンバーを大規模発現遺伝子(EST)解析に供し、その配列情報解析に基づき、(A)ハプト+クリプト生物群の多様性とメンバー間の系統関係、(B)ハプト+クリプト生物群における光合成能力の進化、(C)ハプト+クリプト生物群の系統学的位置を確定することを目的としている。平成22年度には以下の作業を行った。1.ハプト+クリプト生物群捕食性メンバー、新奇捕食性鞭毛虫Palpitomonas bilix(YPF602株)、ゴニオモナス類Goniomona sp.のRNAサンプルをもとに作成したcDNAライブラリーを、パイロシークエンシングすることにより、網羅的発言遺伝子(Expressed sequence tag)解析を行った。P.bilixは104,136リード(8586コンティグ)、Goniomona sp.は132,161リード・8394コンティグをそれぞれ得ることができた。2.EST解析から得たコンティグの配列相同性解析を行い、分子系統解析に用いることのできる遺伝子を探索した。その結果、161遺伝子配列から構成される"Phylogenomic"解析用データを用意することができた。現在までに行った161遺伝子、あるいはそのサブセットのデータ解析により、P.bilixはクリプト藻類に極めて近縁であることが判明した。3.P.bilixとGoniomona sp.のESTデータ中に葉緑体関連遺伝子を探索した。残念ながらP.bilixデータには葉緑体関連遺伝子の有望な候補は見つからなかった。しかし、Goniomona ESTデータには、6つの葉緑体関連遺伝子候補が見つかった。これらの遺伝子転写産物の全長配列を決定するための解析を現在行っている。
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