研究課題/領域番号 |
21370038
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (50280524)
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研究分担者 |
三吉 一光 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (60312237)
上野 修 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70414886)
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キーワード | 植物 / 担子菌 / 進化 / ラン科 / 解剖学 / 分類学 / 形態学 / 共生 |
研究概要 |
これまでの申請者らによる炭素ならびに窒素安定同位体分別値を用いた解析により、ラン科シュンラン属(Cymbidium)の無葉緑植物マヤラン(C.macrorhizon)とサガミラン(C.nipponicum)が、炭素と窒素資源を菌から得る菌従属栄養植物であることを明らかにした.しかし、これらの果実は緑色を呈することから、光合成能力を備えている可能性がある、22年度は、果実の光合成能力を検証するため、上記の2種に加え外群として独立栄養種のシュンランC.goeringiiを用いて、葉と果実の形態形質、クロロフィル蛍光および炭素安定同位体比を調査した。果実表面を見ると、3種とも気孔が存在し、そのサイズには葵と有意差がみられないものの、密度は葉の約5%と低下していた。また、果実の縦断切片における柔細胞の長径は葉の約5倍であり、葉緑体の密度も果実で大きく低下していた。一方で、葉緑体の厚さには有意差が認められなかった。ついでクロロフィル蛍光を測定したところ、葉に対して〓果は約60%の値を示した。以上の結果からこれら3種の果実は、葉と比べてレベルが低いものの、光合成を行っていると解釈された。したがって、菌従属栄養種においても、当熟期には果実での炭素同化を行う種の存在することが示された。
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