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2010 年度 実績報告書

ヘムをシグナル伝達分子として機能する蛋白質制御系の構造化学的基盤

研究課題

研究課題/領域番号 21370040
研究機関北海道大学

研究代表者

石森 浩一郎  北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20192487)

研究分担者 内田 毅  北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (30343742)
キーワードヘム依存性制御蛋白質 / 酸化修飾 / 活性酸素 / ヘム生合成 / 鉄代謝
研究概要

本年度の研究成果の概要は以下のとおりである
1.Irrにおける酸化修飾部位と酸化活性種の同定昨年度,発現中の菌体内でのIrrの酸化修飾を5%以下に抑えることに成功したので,本年度はこの培養方法を用いて,ヘムや無機鉄の存在下におけるIrrの酸化修飾反応を追跡した.その結果,ヘムの添加時にはIrrの酸化修飾反応は進行したが,無機鉄のみの添加では酸化修飾が進行しなかった.つまり,外部から加えた無機鉄はIrrに結合しない,あるいは結合しても活性酸素種の産生を触媒しないと考えられた.しかし,還元条件下でヘムは,分子状酸素と反応して過酸化水素を産生するものの,過酸化水素はアミノ酸を酸化修飾するほどの酸化力を示さない.一方,酸化修飾反応中の吸収スペクトルを追跡すると,ヘムの分解が確認され,Irrに結合したヘムの一部は分解し,蛋白質内部で無機鉄を放出することが示唆された.したがって,この無機鉄は外部から加えた無機鉄とは異なり,Irrと結合して過酸化水素とFenton反応を行うことが考えられ,その結果,酸化力の高いヒドロキシルラジカルが生成し,このヒドロキシルラジカルが蛋白質部分を酸化修飾すると結論付けられた.
2.Irrへのヘム運搬蛋白質としてのフェロキラターゼ(FC)との相互作用の解明Irrではヘムの結合により酸化修飾反応が進行するが,細胞内では遊離のヘムはほとんど存在せず,何らかのヘム運搬蛋白質がIrrにヘムを供給すると推定される.本年度はこのヘム運搬蛋白質として,ヘムの生合成の最終段階でポルフィリンに鉄イオンを挿入するフェロキラターゼ(FC)に注目し,FC,無機鉄,ポルフィリン存在下でIrrの酸化修飾反応が進行するか検討した.その結果,FC,無機鉄,ポルフィリン存在下ではIrrの酸化修飾反応が進行したが,FC非存在下では酸化修飾反応は確認できず,FCによって生成したヘムがIrrを酸化修飾する,つまり,FCがIrrに対するヘム運搬蛋白質であることが示された.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Unusual Heme Binding in the Bacterial Iron Response Regulator Protein (Irr) : Spectral Characterization of Heme Binding to Heme Regulatory Motif2011

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa, H.
    • 雑誌名

      Biochemistry

      巻: 50 ページ: 1016-1022

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Molecular Oxygen Regulates the Enzymatic Activity oF a Heme-containing Diguanylate Cyclase (HemDGC) for the Synthesis of Cyclic di-GMP2010

    • 著者名/発表者名
      Sawai, H.
    • 雑誌名

      Biochimca Biophysica Acta

      巻: 1804 ページ: 166-172

    • 査読あり
  • [学会発表] Oxidative modification and its functional significance in heme-regulated protein2010

    • 著者名/発表者名
      Ishimori, K.
    • 学会等名
      Pacifichem 2010
    • 発表場所
      米国,ハワイ,ホノルル市 招待講演
    • 年月日
      2010-12-15

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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