研究概要 |
V-ATPaseのヒスタグ精製系作成時に用いた相同組み替えにより、親水性のサブユニットIのN末にヒスタグを導入した組み替え体株を作成し、Ni-NTAを利用したアフィニティー精製ができた。ホロV-ATPaseの2次元結晶は作成されており、並びのよい領域を傾斜してクライオ電子顕微鏡像をとり、部部的ながら3次元像を再構成できた。電子線トモグラフィーといわれる手法である。この手法により、分子中心付近の構造の概要が明らかになり、外周固定子が3本ある可能性が示唆された。外周固定子の数を確定するために、外周固定子を構成するEおよびIサブユニットに対する抗体を作成し、それぞれのサブユニット数の確定を試みている。特異的抗体の作成は完了した。 複合体Iのホロ酵素精製系の構築を行うために、精製条件の検討を行ったが、ホロ酵素が得られる条件は確定できなかった。可溶化状態ではある程度ホロ酵素が含まれていることが阻害剤の感受性から予想できるが、Ni-NTAカラムをかけると解離が起こることがわかった。界面活性剤や、pH,温度、脂質の添加等の条件検討をさらに進めて、解離が起こらない条件を確定する必要がある。
|