研究課題
V-ATPaseの外周固定子の形状及び数を、電子顕微鏡を用いた構造解析で解明するために、先年度作成した外周固定子に結合する抗体の様子を電子顕微鏡で観察した。好熱菌のV-ATPaseの外周固定子は、膜内在性のVo部分の一部としてV1部分とVoを連結している。完全な状態のV-ATPase(VoV1)では、疎水領域から離れたV1部分の先端を抗体が認識した。V1部分がないVo部分に対して抗体を反応させた場合、疎水領域の近くに結合した。V1部分の結合の有無により、Vo部分に付属している外周固定子の形状が大きく変化することが示唆された。Vo-dを含む、Vo-c ringの構造解析について、2次元結晶の最適化条件の検討を引き続き行った。2次元結晶の再現性は得られているものの、構造解析に適応できるデータの収集に至っていない。膜内在性部分を含む複合体Iの精製条件の検討を行った。従来使用している膜表在性部分に導入したヒスチジンタグを用いたアフィニティー精製系では、膜表在性部分が大部分を占める標品しか精製されない。可溶化条件や精製条件の検討を繰り返したが、完全な形での複合体Iの精製には至っていたない。次に膜内在性のサブユニット13のC末端にヒスチジンタグを導入した。その結果、膜内在性部分を含む完全な複合体1の精製に成功した。結晶化条件のスクリーニングに十分量の試料を得るための可溶化、精製条件の検討を行っている。
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Nature Communications
巻: 2 ページ: 233-239