研究課題
NOESYスペクトルのみを入力データとし、蛋白質の立体構造を全自動構造解析する手法-NOESY-FLYA法-の実証実験に初めて成功した。即ち、クロレラ由来のユビキチン(76a.a.:SAIL標識)、及び高熱性細菌HB8由来のTTHA1718(66a.a.:二重標識)にNOESY-FLYA法を適用し、従来の手動解析による構造解析と同程度の精度で立体構造解析が全自動的に可能となることを示した(Ikeya et al. in press:DOI10.1007/s10858-011-9502-8)。本法を用いれば、NOESY以外のスペクトル・構造情報を全く必要とせずに、化学シフト帰属から立体構造決定の至るまで全ての解析過程を自動化することができる。ユビキチンの場合にはSAIL標識体を試料として用いたために、NMRシグナルの先鋭化、及びシグナル数の大幅な減少が得られ、自動構造解析上問題となる可能なシグナル帰属の組み合わせ数を一挙に減少させることにつながり、NOESY-FLYA法の成功に導いた。SAIL標識試料は、同程度のアミノ酸残基数の二重標識試料と比較して、6倍程度低濃度の試料溶液を用いてもNOESY-FLYAを用いた全自動構造解析が十分可能であることが示された。本法を更に高分子量の蛋白質へと適用範囲を拡張する試みにも着手した。このために分子量21kDaの蛋白質DsbAのSAIL標識体の調製を行い、既に一連のスペクトル測定も終了している。現在、進めている解析が成功すれば、20kDaを超える蛋白質を対象とした完全自動解析の世界初の成功例となる。また、本研究課題に関連し、更なる高分子量蛋白質や膜蛋白質の主鎖NMRシグナルの帰属に有効なアミノ酸選択的標識の組み合わせを最適化するアルゴリズムUPLABELの開発も行った(Hefke et al.2011)。
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