研究課題
(1)高マンノース型糖鎖の超高磁場NMR解析常磁性タグを利用したNMR解析を通じてN型糖鎖の精密構造解析を行うための方法を開発した。N型糖鎖のコア構造に相当するキトビオースをモデル系として選定し、その非還元末端にランタニドタグを導入することにより、擬コンタクトシフトなどを利用したコンフォメーション解析が可能となった。一方、N型糖鎖の生合成にかかわる遺伝子を欠失した酵母の変異体を、特定の部位の炭素を^<13>Cでエンリッチしたグルコースを含む最少培地中で培養することにより、部位選択的に^<13>C標識を施した高マンノース型糖鎖M8Bを大量に調製することに成功した。一連の標識体を利用した超高磁場計測によって本糖鎖のNMRシグナルの帰属を確定するとともに、緩和解析を通じて本糖鎖のダイナミクスを評価した。(2)L型レクチンCRDの結晶構造解析およびNMR解析構造生物学研究を通じて、血液凝固第5第8因子欠乏症の原因遺伝子産物であるERGIC-53とMCFD2の協働的相互作用の構造基盤を明らかにした。ERGIC-53は糖鎖認識ドメイン(CRD)を有するI型膜タンパク質であり、MCFD2はEFハンド構造を有するCa^<2+>結合型タンパク質である。X線結晶構造解析、超遠心解析、NMR解析を駆使してERGIC-53-CRDとMCFD2の複合体の3次元構造を決定することに成功した。MCFD2上のERGIC-53-CRDとの相互作用部位はEFハンド構造を有するタンパク質に共通するリガンド結合部位とは異なっていた。さらに、ERGIC-53-CRDが結合することによってMCFD2に、特にそのEFハンドタンパク質に共通するリガンド結合部位において立体構造変化が誘起されることも明らかとなった。
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