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2009 年度 実績報告書

神経特異的な糖鎖による神経可塑性の調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21370053
研究機関京都大学

研究代表者

岡 昌吾  京都大学, 医学研究科, 教授 (60233300)

キーワードHNK-1糖鎖 / 遺伝子欠損マウス / スパイン / グルタミン酸受容体 / グルクロン酸転移酸素 / 細胞内輸送
研究概要

本研究は脳の高次機能の基盤とも言える神経可塑性の制御機構について、HNK-1糖鎖を分子プローブとしてのその総合的な理解を目指している。本年度は以下の2点について研究を行った。
1)スパインの形成におけるHNK-1糖鎖の役割
HNK-1糖鎖合成酵素遺伝子(GlcAT-P)欠損マウスでは脳内のHNK-1糖鎖が消失し、海馬CA1領域における長期増強現象と記憶学習機能に異常が観察されていた。そこで長期増強に異常が見られた海馬CA1錐体神経細胞に着目し、脂溶性蛍光色素(DiI)を用いてin vivoでの神経突起の詳細な形態観察を行った。その結果、GlcAT-P遺伝子欠損マウスにおいて樹状突起スパインの成熟異常を見いだした。この異常は、海馬初代培養神経細胞を用いたin vitroでの系でも再現され、GlcAT-P遺伝子の導入により形態異常は完全に回復することを示した。また、免疫蛍光染色によりGlcAT-P欠損神経細胞では、シナプスがスパイン上ではなく樹状突起シャフト上に異所的に形成されることを見いだした。
2)HNK-1糖鎖の発現調節機構
本年度は、GlcAT-Pに存在する2つのアイソフォーム(アミノ末端に13アミノ酸の有無が選択的スプライシングにより決定される)によるHNK-1糖鎖の発現調節に関する研究を行った。その結果、2つのアイソフォームの試験管内でのグルクロン酸転移活性は同等であるにもかかわらず、細胞内では短いアイソフォームが長いものより高いHNK-1糖鎖合成活性を有することが明らかとなった。その原因として短いものはその大部分がゴルジ体に局在するのに対し、長いものはゴルジ体以外にERにも局在することが明らかとなった。その局在を調節する機構としてGlcAT-Pの膜貫通領域近傍に存在するdibasic motifが重要であり、さらにCOPII小胞の構成因子であるSar1が関与していることを明らかにした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] HNK-1 (human natural killer-1) glyco-epitope is essential for normal spine morphogenesis in developing hippocampal neurons2009

    • 著者名/発表者名
      Morita, I., et al.
    • 雑誌名

      Neuroscience 164

      ページ: 1685-1694

    • 査読あり
  • [雑誌論文] HNK-1 glyco-epitope regulates the stability of the glutamate receptor subunit GluR2 on the neuronal cell surface2009

    • 著者名/発表者名
      Morita, I., et al.
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem. 284

      ページ: 30209-30217

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Distinct transport and intracellular activities of two GlcAT-P isoforms2009

    • 著者名/発表者名
      Kizuka, Y., et al.
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem. 284

      ページ: 9247-9256

    • 査読あり
  • [学会発表] グルタミン酸受容体に発現するHNK-1糖鎖の役割2009

    • 著者名/発表者名
      岡昌吾, 他
    • 学会等名
      第32回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2009-12-11

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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