研究課題
真核生物の細胞質内部および細胞質内の小胞の内部pHは、それぞれ中性と酸性に厳密に制御されている。このpH制御には、形質膜、小胞膜に存在するNa+/H+H+交換輸送体群NHEが関わっているが、細胞質pH制御に比べ小胞を巡るpH制御と生理的役割特に小胞型(内膜型)NHEについては多くの 点が不明のままでありこれらのNHEの役割と制御機構を解明することを本研究の最終的目的としている。本研究計画実施の中で研究の進展の著しい内膜型NHE6に昨年度に引き続き特に力点を置いて次の2点の成果を得た。(1) NHE6の、神経系細胞における役割をPC12株や初代神経培養細胞を用い、細胞内局在解析と遺伝子ノック ダウンとを組み合わせて昨年度までに解析したところ、神経軸索突起の伸張がNHE6発現量と相関することを見いだした。突起の伸張について、NGFが必要 なので、NGFのシグナル伝達のどの段階でNHE6が作用するのか解析した。その結果、NHE6をノックダウンした場合に細胞内情報伝達系を構成するMAPKであるERK1/2のリン酸化レベルの低下が認められた。さらに、この細胞ではNGF受容体であるTrkAの蛋白質発現量が低下していることが判明し、この発現量低下はユビキチンプロテアソーム系による分解であることが示唆された。これらの結果から、NHE6は細胞内の複数の作用点においてNGF-TrkA経路の機能に関与していることが示唆された(2) NHE6の酵母アイソフォームNhxに注目し、機能欠失株を系統的に 昨年度までに解析したところ、細胞内小胞の多重膜構造形成(MVB)に影響し、この仕組みにpH制御を通して関わることを明らかにした。本年度この機構を すべて試験管内で再現する系を確立し、表面pH制御の重要性をさらに確固とすることを試みた。一部予備的に実験系を作ることができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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