研究課題
小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGLUT)はシナプス小胞にグルタミン酸を輸送するトランスポーターである。小胞内に蓄積されたグルタミン酸は刺激に応じて細胞外へ放出されて、シグナルを伝達する。VGLIUTはグルタミン酸輸送だけでなく、Na^+勾配に依存したリン酸輸送活性を持っている。この研究ではVGLUTを含むSLC17型トランスポーターを材料とし、分子内に複数のトランスポーターマシンを持つ多機能性トランスポーターのメカニズムに迫る事を目的としている。SLC17ファミリーの一つである小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT,SLCl7A9)はATP等のヌクレオチドを小胞内に輸送するトランスポーターで、VGLUTとよく似た性質を持っている。生体内でははATPはMgやCa等の二価金属イオンと複合体を形成している。そこで、二価金属イオンがヌクレオチド輸送に対して与える効果について詳細に解析した。その結果、VNUTがフリーのATPだけでなく、ATP-Mg複合体も輸送している事を見いだした。クロマフィン顆粒等ではヌクレオチドとともに二価金属イオンが蓄積されている事が知られていたが、蓄積のメカニズムは不明なままであった。本研究の成果はVNUTがクロマフィン顆粒への二価金属イオン蓄積に関わっている事を示すとともに、ATP輸送と二価金属イオン輸送という二つの機能を担うトランスポーターである事をが明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
VNUTが持つ新しい輸送機能を明らかにした。
変異型VGLUT、VNUT、VEATによるグルタミン酸、ヌクレオチド輸送活性を測定する。また、リン酸輸送活性を測定する。さらに、これらのトランスポーターがオリゴマー構造をとっているか、オリゴマー構造が輸送活性とどのような関係にあるか明らかにする。
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