「ヌードマウスの体毛減少はPLCδ1欠損が原因である」ことを個体レベルでの検証するために、PLCδ1を強制発現させたTGヌードマウスを作製した。マウスの作製は完了し、一部解析を行なった。毛形成は回復しなかったが、ヘアケラチンの発現は部分的に回復し、ヌードマウスの原因遺伝子Foxn1の下流にPLCδ1が存在することが示唆された。 また表皮基底層特異的K14・PLCδ1コンディショナルKOマウス(K14CrePLCδ1flox/-)の作製が完了した。今後このマウスを用いて、表皮の肥厚には炎症などの免疫機構の解明を行なう。 皮膚における損傷治癒におけるPLCδ1の役割解明に関しての解析では大きな成果が得られてきている。最近PLCδ1KOマウスでは損傷時の治癒速度が速いことが判明してきている。またこの分子機構として、「PLCδ1の欠損は細胞周期を促進する結果、増殖性が亢進する」ことが明らかになった。今後損傷治癒過程におけるPLCδ1の役割解明を詳細に行なう。
|