研究課題/領域番号 |
21370061
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
上田 太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, セルエンジニアリング研究部門, 部門付き (90356551)
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研究分担者 |
片山 栄作 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50111505)
徳楽 清孝 都城工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (00332106)
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キーワード | アクチン / アクチン結合タンパク質 / メカノセンサー / 協同的構造変化 / 細胞極性 / ミオシン / コフィリン / GFP |
研究概要 |
アクチンは真核細胞でもっとも高度に保存されたタンパク質の一つであり、その重合体であるアクチンフィラメントは、細胞運動や細胞内物質輸送等のさまざまな現象で非常に重要な機能を果たしている。われわれは、細胞内アクチンフィラメントのこうした機能分化には、アクチンフィラメントの構造変化、とくに外力による変形や特異的アクチン結合タンパク質による構造変化が重要な機能を果たしているのではないかという仮説を提唱した。本研究は、この仮説の検証を目的としている。21年度は大別して下記の三つのアプローチに取り組んだ。(1)本仮説によれば、異なるアクチン結合タンパク質が共存する場合、アクチンフィラメントと排他的または相加的に協同的に結合すると予想される。そこで蛍光標識したミオシン断片とコフィリンを調製し、アクチンフィラメントとの結合を蛍光顕微鏡観察している。その結果、ミオシンII断片のみならず、コフィリンもアクチンフィラメントと長距離の協同的結合することを発見した。現状ではコフィリンのアクチンフィラメント切断活性などへの対処に手間取り、両者が共存する場合の挙動を確定するには至っていない。そこでこの困難を回避する一手段として、蛍光標識したアクチニンやフィラミンなど他のアクチン結合タンパク質の調製にも着手した。(2)細胞内でのアクチン結合タンパク質、とくに蛍光標識したミオシン断片の挙動を解析した。その結果、ミオシンII断片は張力のかかったアクチンフィラメントに局在していたが、ミオシンIの断片にはそうした傾向は認められなかった。これは本仮説と合致する結果である。(3)以前の科研費基盤研究「優性変異アクチンを用いたアクチンフィラメントの機能解明」で単離した変異(G146V)アクチンが、アクチンフィラメントの協同的構造変化に大きな影響を与えることを発見し、これに関する解析にも着手した。
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