研究課題
アクチンフィラメントは、細胞運動や細胞内物質輸送等のさまざまな現象で非常に重要な機能を果たしている。われわれは、細胞内アクチンフィラメントのこうした機能分化には、アクチンフィラメントの構造変化、とくに外力による変形や特異的アクチン結合タンパク質による構造変化が重要な機能を果たしているのではないかという仮説の検証に取り組み、今年度は以下の成果を上げた。1.昨年度までに、蛍光標識したミオシンIIのモーター領域断片とコフィリンを調製がそれぞれ個別にアクチンフィラメントと長距離の協同的結合することを発見していた。今年度は、ミオシンIIモーター領域断片、コフィリンおよび過剰量のアクチンフィラメント三者が共存する場合に、ミオシンIIモーター領域断片とコフィリンが相互排他的にアクチンフィラメントと結合する条件を見出すことができた。来年度にさらなる条件検討が必要になるが、これにより本研究の重要な目標達成にめどが立ったといえる。2.蛍光標識したミオシンIIモーター領域断片が、細胞内で張力のかかったアクチンフィラメントに局在することを昨年度までに観察していたが、今年度は、ミオシンIIフィラメントの細胞内局在に影響すると言われている変異体においても、ミオシンIIモーター領域断片は張力のかかったアクチンフィラメントに局在することを見出した。この結果により、オシンIIモーター領域断片が張力のかかったアクチンフィラメントに局在するという性質はアクチンフィラメントの本来的性質であることが示唆され、本研究の仮説がさらに支持された。3.ミオシンIIモーター領域断片がアクチンフィラメントに及ぼす影響を構造的に解明するため、アクチンの分子内FRET解析を行い、ミオシンIIモーター領域断片がATP依存的にFRETシグナルに影響を与えることを見出した。
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Analytical Biochemistry
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